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ライブツイートログ11【 特攻装警グラウザー打ち明け話① 】

 さて! そろそろ始めるか!
 拙作『特攻装警グラウザーの打ち明け裏話』
 レビュー獲得記念号

 お待ちどうさま!

 待ってた人もいらっしゃるみたいで。ではぼちぼち始めたいと思います。
 今回は気楽に行こうと思います。
 では!

 さて――
 まず最初は『作品発表前夜』について
 そもそものグラウザーと言う作品の創作の出発点から始めたいと思います

 そもそものグラウザーと言う作品の出発点ってなんだと思う?

① 25% 石ノ森章太郎御大の傑作・ロボット刑事
② 50% 今なお語り継がれる奇作・コマンダー0
③ 25% ハリウッドの禁じ手・ロボコップ
④ 00% それ以外の何か!

 ご回答ありがとうございます

 実は4番の『ビバリーヒルズ・コップ』です。
 マジで

① 33% はァァァ??(@_@;)
② 00% 詐欺だ!!٩(๑òωó๑)۶
③ 33% どう言う事? (゚Д゚)ハァ?
④ 34% 寝言は寝てから言え (´・ω・`)

 怒らないで、本当だから。
 厳密にはスタート時点でのイメージ源泉はロボット刑事なんだがそこからグラウザーに至るための分岐点としてワシの頭のなかにあったのが『ビバリーヒルズ・コップ』なんです。まずはそこから説明する
 そもそもグラウザーを書こうと思ったスタート時点での思惑というのが『日本の特撮ヒーローでも、ハリウッドのSFやアクションに負けないくらいのクオリティで作れるはず!』と言う意気込みから出てきたんです。で石ノ森師匠のロボット刑事の現代リニューアルと言うのを妄想してみたのが始まり

 ただ――

『ロボット刑事原典の昭和中期のイメージをそのままリメイクしても古臭いだけだよなぁ、うーん』
(石ノ森ファンの諸君ごめんなさい)
『もっと現代的なイメージ……もっとスタイリッシュな……ん?』
(雑誌に載ってたビバリーヒルズ・コップのアクセル刑事)
『これだ!』

 そっから始まった
 もうおわかりだろう。
 特攻装警第1号機のアトラス、ダッジ・バイパーを乗り回し、フライングジャケットを着込み、デザートイーグルを振り回す
メカニカルな外見から来るハンデを抱えながらも、困難を一つ一つ乗り越える――
 グラウザーシリーズの最初期のイメージはここで出来上がったのである

 実はビバリーヒルズ・コップからフィーチャーしてるファクターは何もハリウッドの的なアクション要素だけじゃない。物語要素としてもっとコアなものを取り入れている。
 それが――

『差別』である

 グラウザーと言う作品において重要な位置を占めるのが

『サイボーグ』であり『アンドロイド』だ。

 サイボーグは一般市民が闇社会において他人を圧倒できる力を手に入れるための手段として描かれている。その一方で、アンドロイドは人間を補助し、問題解決の手段として社会の中で重宝されている。すなわち、グラウザー世界においてアンドロイドは人間に服従しつつ人間の超える力で人間を豊かにするための手段としてのみ存在を許されている。
 作中、証拠隠滅機能で焼かれてしまったメリッサを前にして、彼女の悲惨な運命を痛むフィールの姿がある

 すなわち

――与えられた役割に満足できている私たちはまだ幸せだ――と――

 グラウザー世界においてアンドロイドとは万能の超人ではない。
 差別され、支配され、役割を固定化された不自由な存在なのである
 それがグラウザーと言う作品を書き始める上でビバリーヒルズ・コップから得られたストーリーファクターであり、今なお作中で書き続けているテーマなのだ。

 実際、翻って見てみるとロボットのヒーローって悲惨な末路を辿ってるのが多いんだコレが!

実例をあげると――

超人機メタルダー ⇒ 重要メカを修復不能にされて再起不能、そのまま山ごもり
宇宙鉄人キョーダイン ⇒ 敵のラスボス目掛けて肉弾特攻
大鉄人ワンセブン ⇒ キョーダインに同じ
ジャイアントロボ ⇒ 敵のボスを抱きかかえて宇宙空間にて自爆
キカイダー/キカイダー01 ⇒ 敵組織解決後、いずこえともなく失踪
電人ザボーガー ⇒ エネルギー枯渇後奇跡の再起動、しかし無理がたたって自爆
ロボット刑事(書きたくない)
特捜ロボジャンパーソン ⇒ あとで書く

 燦々たる有様である。
 再起不能、特攻、特攻、自決、失踪、自爆、意味不明
 もっと大切にしてやれよ・・・

 しかしなぜこうなるのか? そして、なぜこんな悲惨オチが連綿と許されるのかと言えば理由はコレに尽きる

『ロボット/アンドロイドは突き詰めると道具であり、役割を果たすと存在意義がなくなる』

――と言う悲惨な現実が待っているからである。

 すなわち敵対存在を排除する事に成功したら、人間でないにも関わらず、危険な戦闘能力を有したロボットヒーローは、人間から見れば危険な存在でしか無い。華々しく散って綺麗さっぱりと言うわけだ。
 悲しすぎる。
 だがそのアンドロイドヒーローの悲惨な運命に真っ向から挑戦状を叩きつけた作品がある。それがメタルヒーローシリーズに登場する

『特捜ロボ・ジャンパーソン』である。

 実はこの作品からもグラウザーは大きな影響を受けている。

 主人公ジャンパーソンは正体はMX-A1と言う警視庁により作られた犯罪撲滅用の戦闘アンドロイドだった。だが、知能システムに不備があり戦闘行為のコントロールができず、敵を完全破壊するまで戦闘が止められなかった。これが問題視され一度は廃棄される。
 だが開発者の中のひとりの女性が『アンドロイドにも心は宿るはず』と信じて、密かにMX-A1を回収、修復すると、善悪の判断と人間的なコミニュケーションをイチから教育。すぐれた人格を宿すことに成功する。そして『ジャンパーソン』と言う名を与えると、謎のヒーローとして世に送り出したのだ
 その後もジャンパーソンは犯罪と闘い続けるが、心と善悪の判断があるがゆえに敵に遅れを取って苦戦するケースが度々登場する。
 そしてジャンパーソンに立ちはだかるのが、自らを戦闘サイボーグ『ビルゴルディ』に改造した富豪・九能帯刀だ。

 心を宿したアンドロイド・ジャンパーソン

 善悪の判断を捨て悪に特化することを希求したサイボーグ・ビルゴルディ

 この2項対立が、特捜ロボ・ジャンパーソンと言う作品の面白さであり、重要テーマなのだ

 ラストでジャンパーソンはビルゴルディに勝つために自分の中枢部の一部を破壊、人格システムの善悪判断の部分を排除すると完全なる戦闘体へと変わり果てる
 そして激戦の後にビルゴルディに勝利するのだが、もうすでにジャンパーソンに心はない。善悪の判断も情緒もない。破壊されるしか無いのだろうか? 
 だがそこで救われるラストが待っていた
 ジャンパーソンに心を与え、人間性をもたらしていたのはプログラムでも電子回路でもない。人間と関わり合いお互いを慈しみ合ってきたと言う事実であり、その事実に基づいた『記憶』と『経験』だったと言うラスト。ジャンパーソンは無事、心をとりもどすのだ
 そしてラストシーン
 武器を外し、戦闘機能を外したジャンパーソンは、平和が戻った街の片隅で子供達の為にケーキを創りパーティーを開いていた。彼の幸せそうな顔がとてつもなく印象的なラストなのだ。
 全てのヒーローの中で最もお気に入りのラストシーンである
 マニアックなお話ですまん
 そろそろオチとして締める

 心を持たないはずのロボット/アンドロイドが少しづつ成長し、人格と人間性を獲得しようとする。だが人間でないが故のハンデと壁に幾度も苦しめられる。挫折し、苦悶し、何度も悩む。だがそれでも己に求められている存在理由へと回帰し、諦めること無く何度も立ち上がる――
 それが特攻装警グラウザーと言う作品に込めた最大のテーマなのである。
 さて今回はこれで終わりである

 手前勝手な打ち明け話にお付き合い頂き大感謝である。
 次回の特攻装警グラウザーは1月12日の金曜日の夜九時半公開予定である!
 頑張って執筆する!
 さてそれではこれにて!!

ζ
■D:美風

レビュー作成裏話【美風慶伍の頭の中】 第4回 【 【THE TRANSCEND-MEN】 ー超越せし者達ー 】

 さて――
 かなり間が空いてしまったレビュー解説の『美風慶伍の頭の中』
 サボってたわけじゃないです。年末年始が挟まったのと、ちょっとあることを待ってたんです。
 それと、今回は2度めのSF――、それも壮大な世界観を背景に持ったドラマチックSFスペクタクル作品。
 壮大かつ悠久の広がりを持つ世界観の中で、SFならではの知的好奇心をくすぐるアクション性に満ちたドラマ。
 考えてみればハリウッド映画の大ヒット作って大抵はSFの範疇に属するものばかり。
 ならば、ハリウッド並みのスケールと奥行きを持ったSF長編を作ることは、なろう作家といえど不可能ではないはずです。
 そしてここに、その壮大かつ困難な大事業に果敢に立ち向かった偉大なる大馬鹿野郎が1人。

 その人の名は『タツマゲドン』
 作品の名は『【THE TRANSCEND-MEN】 ー超越せし者達ー』
 
 そしてそれはある1人のレビュワーを大いに悩ませることになるのです。
 それこそ胃が痛くなるくらいに。
 
 でははじめます。

【 美風慶伍の頭の中 】

第4回
作品名《 【THE TRANSCEND-MEN】 ー超越せし者達ー 》
作者 《 タツマゲドン 》

 さて――
 すでにご承知の人もおられるだろうが、私こと美風はある基準のもとにレビューの可/不可を判断している人間である。
 それは『レビューして読者の方々にどうしても知らしめておすすめしたい『面白さの核』があるか否か?』と言う点だ。
 
 逆を返せば、オススメするに足る『面白さ』や『楽しさ』や『付加価値』があれば、私は多少の欠点は気にせずに堂々とレビューをする。実際、文章能力や文体などに致命的な問題があっても、レビューした事例はいくつもある。
 逆に文章作法や基本的な物の書き方ができていても、レビューをしてまで読者に知らしめたいと思える様な『楽しみの核』『絶大な付加価値』が見いだせない作品はレビュー未到達としてダメ出しをしている。
 このダメ出しが場合によっては作家さんの心をへし折ってしまう事もあるので心苦しいのは事実なのだが、そう言うキツいスタンスも確固たる理由があってのことだというのは告知済みなので私は遠慮しない。そのスタンスはこれからも変わらない。なので私にレビュー依頼をする人は覚悟するように。
 
 さて――
 
 だがここで私を大いに悩ませるタイプの作品が往々にして登場する。
 それは――
 
【 レビューをしてまで読者に知らしめたい『面白さの核』を持っているが、同時に致命的な問題があるゆえにレビュー投下して作品の存在を知らしめる事がリスキーな作品 】

――である。

 つまりどういう事かというと――
 
【 レビュー可/不可のギリギリの線上となる微妙なボーダーライン作品 】

――があると言うことである。

 いや実際、ほんとに多いんだ!!
 
 プッシュポイントとデメリットポイントが同等に共存するが故に、どっちに判断した方がいいのか徹底的に悩ませられるのだ。少なくともレビュー依頼をしてきた人をがっかりさせたくない。しかし同時に、レビューを通じて作品を知らしめることで作品の致命的な欠点が明らかになり、レビューが効果を発揮しないばかりか、看板に偽りありとして作品にアンチがつく事すらありえるのである。
 
 こうなると読者を増やすのはもはや困難となる。
 そんな馬鹿な?! と思われるかもしれないが、読者は恐ろしくシビアで残酷なのだ。
 面白ければ読んでくれるし、つまらなければ二度と読んでくれない。
 たった一通のレビューが作品を爆発的に盛り上げることもあれば、永遠にとどめを刺してしまうこともある。だからこそレビューは怖いのである。
(蛇足ながら、だからこそ作品の本質を理解してくれるレビュワーを徹底的に探すことをオススメする)

 さて本作【THE TRANSCEND-MEN】 ー超越せし者達ーである。
 
 一読してSF、それもハリウッド映画ばりに壮大な世界観を持ったドラマチックSFスペクタクル作品だと言うのはすぐに判った。それも背景世界も、設定も、徹底してしっかりしている。アンダーソン少年を中心として展開される人間関係も、超越の特殊能力によるバトル描写も、SF作品として肝のハイテクノロジー描写も皆しっかりしている。それぞれの各パーツを見れば非の打ち所も無いくらいだ!
 
 そもそも――
 新規の未知なるハイテクノロジーを登場による変革した世界を舞台とした物語と言うのは、大ヒットアニメでは定番のスタイルなのだ。

 波動エンジンの技術供与により宇宙戦艦を完成させた『宇宙戦艦ヤマト』
 光子力エネルギーと超合金による戦闘ロボットの闘いを描いた『マジンガーZ』
 ミノフスキー粒子によるモビルスーツの開発の成功により、コロニー世界での宇宙戦争を描いた『機動戦士ガンダム』
 汎用人型決戦兵器の開発と戦闘運用をめぐる人間ドラマが交錯する『新世紀エヴァンゲリオン』
 
 どれもがド定番の作品ばかりだ。
 ハリウッド映画もそうだ。
 
 タイムマシンの発明をめぐる歴史ミステリーアクション『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
 汎銀河規模の宇宙文明の興亡を描いた『スターウォーズ』
 宇宙へと進出した遠未来の人類文明と異星人文明の接触と興亡を描いた『スタートレック』
 
 漫画から範をとるなら――
 
 人間の超能力開発をめぐる陰謀と騒乱を描いた『アキラ』
 サイボーグ技術とネットワーク技術が社会の細部にまで浸透した未来世界を描いた『攻殻機動隊』
 人型作業ロボットが社会の隅々にまで浸透した日本の未来絵図を描いた『機動警察パトレイバー』
 
 どれもが登場するテクノロジーがいかなるものなのか? を想像すると物語の全体像が速やかに浮かぶほどに明確に描かれているものばかりだ。
 そしてこの手の手法はファンタジー作品でも『その作品独自の論理法則の確立』と言う手段で、連綿と使われており、今後も絶えることのない超王道のスタイルといえるのだ。
 
(脱線だが、あの『けものフレンズ』もこの手法によるものと言えなくもない。生物を進化させるサンドスターの存在と、フレンズを捕食する上位者であるセルリアン、そしてその背景に存在する『人類滅亡』と言う事実――、そこから始まる物語であるけものフレンズは、テクノロジーによる世界変革をキーにした作品と言えるのだ)

 ■ ■ ■ ■ ■

 さて翻ってこの【THE TRANSCEND-MEN】 ー超越せし者達ーである。
 
 この作品には4つのキーワードが登場する。
 
 新素粒子「エネリオン」「インフォーミオン」
 新物質「ユニバーシウム」
 新兵器「トランセンド・マン」
 
 新粒子の登場と、それを利用した新物質の開発、さらにはそれらを応用した新兵器の存在、
 それらが影となり日向となり、世界をダイナミックに変革していく。
 物語の冒頭部では、その変革の歴史的工程が事細かに描かれていく。
 そして始まる〝世界の新たなる秩序〟
 物語は作品の主題である【THE TRANSCEND-MEN】 ー超越せし者達ーへと到達し、最初の章を終える。
 そこまでが本作の事実上の第1章である『Genesis』として描かれる。
 
 このGenesis編には、物語本来の主要登場人物は殆ど登場しない。
 なぜなら例えて言うのなら、
 
 機動戦士ガンダムにおける――

『ミノフスキー粒子の発見と開発の歴史』や
『モビルスーツ開発ヒストリー』あるいは
『スペースコロニーの建設と普及とコロニー国家の成立』

――などと言った物語本編の開始前のプレストーリー、プレヒストリーに相当する部分だからだ。

 商業作品の場合、漫画でもアニメでも映画でも、これらに相当する部分を描くことはまず無い。いわゆる【尺】の問題で入り切らないからだ。だから背景設定として匂わせるだけにとどめたり、関連雑誌などで紙面にて掲載したり、あるいは読者の想像の余地にゆだねる事になる。
 
 そして作品本編でリカバリー出来る範囲内に収めるために、作品未発表の部分が大量に発生することになるのだ。
 
 だが――
 
 この【THE TRANSCEND-MEN】 ー超越せし者達ーは違う。
 小説である事、アマチュア作品である事のメリットを最大限かつフルに活かし、徹底的に歴史ドラマの1ページとして、驚異的な密度と精度で、ある種変質的とも言えるクオリティで徹底的に書き込んで見せるのだ。恐るべき執念と誠意だ。
 その作者のSFストーリーテラーとしての誇りでありポリシーがGenesis編であり、最大のこだわりだろうと私は見ている。
 
 そうこの作品はGenesis編無くしては成立し得ないのだ。
 
 その後、物語はいよいよ作品の編へと突入する。
 アンダーソン少年を主人公とした物語は、Category 0 : Birthから始まり、いよいよドラマチックSFスペクタクルアクションとしての本領を発揮する事になるのだ!
 ココまで到達できればもう心配いらない。ハリウッド映画のさながらの緻密かつドラマチックなストーリーがジェットコースターの如く怒涛に流れ始まるのだ。

 超越した力を持つ者たちと謎の少年アンダーソン、そして彼を巡って対立し合う様々な存在や組織の存在――、作品の中に『異能バトル』『能力バトル』の要素を巧みにはらみつつ、絶妙な物語の流れへと読者を引き込んでいくのである。 
 
 と――
 
 ここまで文章を読んだそこのアナタ、気づいただろうか?
 
 本編であるCategory編が始まるまでのGenesis編――
 
 Genesis編が世界背景の周知徹底を主眼としているため、純粋にSF的な情景描写が続くセクションだ。しかしながら作品の主要登場人物はなかなか登場しない。このGenesis編を開いて目を通したときにしびれをきらせずに最後まで付き合えるかどうか? 初版の【THE TRANSCEND-MEN】の構成では、多くの読者がここで心を折られてしまうのでは? と思えるくらいに読み続けたい! と思える引き込みに乏しいのである

 事実私も一度は断念しかけた。いつ本編が始まるのだろう? と困惑してしまったのだ。
 
 だがレビュワーとして、本編を読まずにレビューの可否を決める事などできない。
 この作品の面白さの核はなんなのか? おすすめできる事の本質は何なのか? それをつかむためにはさらに奥へと読まねばならないと確信を抱いていた。そして、Category編へと到達――
 
 そして思った。
 
【 この作品はCategory編からが超絶的に面白い!! 】

 SFと言うくくりが勿体無いくらいのエンタメ性とドラマチック性に溢れていたのである。
 特に主人公のアンダーソン少年が自らの居場所と決めるチームとの関わり合いの描写は胸に迫る物があり、とくにトレバーなる老人物とアンダーソン少年との師弟関係の様なかかわり合いは見事と言わざるをえないほどのクオリティなのである。

(スターウォーズのオビワンとルークの関係性を思い出してもらいたい。あれに匹敵する面白さなのだ。あれは初期3部作のスターウォーズの最重要部分である)
 
 そこまで読み込んで気づいた事。
 
【 Category編の面白さに到達するまでに、Genesis編を読みこなし終えられるか? 】

 本作品の問題はこれなのである。そこで徹底的に悩んでしまった。

 Genesis編は後のCategory編を楽しむための重要エッセンスであり、楽しめる予備知識として必要な部分だ。だがそのGenesis編をSF耐性の薄いなろう読者にも楽しんでもらえるようにレビューにて説明できるだろうか? 果たしてどうレビューすれば?
 
 タツマゲドン氏に「Genesisをなんとかしてよ」とのたもうてレビュー不可とするのは簡単である。だがそれでは作品の可能性を引き出すためのダメ出しにはならない。
 
「こうしたらもっと読者にアピールしやすくなる! そして面白さを引き出せるはず!」

――といえるまでにレビューとダメ出しを両面で出さねばならないのである。
  
 ならばどうすればいいのか?
 ここで私は2つの方策を取ることにした。
 
①Genesis編の価値を徹底的に後押ししてブラッシュアップするレビューを書く。同時に、Genesisの後に超絶的に面白い本編が待っている事を読者に突きつける。

 まずレビューにて、Genesis編の価値を補完できるようなレビューを作成し、さらにGenesisの後のCategory編の面白さをコレでもかとレビューにてアピールする。この方針でレビュー文を作成する。
 そしてもう一つ――
 
②作品の構成が、Genesis編とCategory編とで離断しており、読者がGenesis編で折れてしまう可能性がある事をダメ出しする。さらに構成を一工夫して、Genesis編その物を、Category編の物語の流れへと取り込み、2つを地続きにする方策を考えてほしいと指摘する。

――これを感想でタツマゲドン氏に伝えたのだ。


 つまりレビューにて本作品の面白さの有りかをアピールして、Genesis編とCategory編のつながりを補完。さらに、感想でのダメ出しを通じて、この点の問題点を指摘。さらなる改善を促すと言う方針で挑んだのである。
 
 そしてコレを前提としたレビュー文が以下である


【壮烈なるSF抒情詩世界観。ハリウッド映画に殴り込める程のストーリーパワーを味わいつくせ!】

★SFを基盤とした物語創造において、新エネルギー新素材新概念、それらを物語のスタート地点とした作品はある意味王道だ。具体名は挙げないが我々はそれらの作品を知っている。だが多くは時間的尺と言う制限に阻まれ細かな点は描かれない。見る者の想像の余地に委ねられる。だがこの作品は違う。根本が異なるのだ
★新素粒子、新物質、新兵器――、王道のSFキーワードを種として作者はまず丹念かつ濃密に世界の根幹となる背景世界を神の視座で描きぬく
★次いでその世界に生きる者の過酷な現実を戦いの最前線の姿から映し出す★作者に対して敬服するのは〝小説〟と言う媒体で許される限界へと、意味変質的とも言える丁寧さで紙面に刻みつける姿勢だ。その執念に敬服である
★だが物語は一人の少年の出現をもってSF的闘争世界を生きるヒーローの出現を予感させてくれる。アンダーソンとソレを囲む人間性あふれる仲間がそれだ。これもSF娯楽大作の王道である


 そしてもう一つ――
 私がなぜ、このレビュー解説記事【美風慶伍の頭の中】の第4回をこの時期まで伸ばしたのか? と言う点についてだが、それにはある理由があるのだ。

【タツマゲドン氏は私のダメ出しに真っ向からしっかりと答えてくれたのだ!】

 敬服である。作者がレビュワーの無茶なダメ出しから逃げずに真っ向から立ち向かってくれたのだ。ならばそれをしっかりと受け止め評価する解説記事を書くのが妥当なはずだ。

 Genesisが丹念に改稿され、冒頭部に新たにfirst編が添えられているのが分かるだろうか?

 私が指摘したGenesis編とCategory編の連続性・接続性の問題をしっかりと認識して手を加えてくれたのである。
 
これこそが【THE TRANSCEND-MEN】 ー超越せし者達ー の完全版である。
 
 本作をあなたの目でしっかりと見て欲しい。
 超絶に面白いSFはここにある

さて次回は――

能登川ツグルさんの名作
『少女は悪魔に死を願う』
――を解説する。
これもまた私のダメ出しを乗り越えた努力作である。

ζ
■D:美風



■Twitterにてプチ企画『#RTした人の作品に勝手に主題歌を選んでみる』をやりました。そのモーメントログです!

■Twitterにてプチ企画やりました。そのモーメントログです!

#RTした人の作品に勝手に主題歌を選んでみる
このタグを使って派手に遊びました。依頼いただいた人の作品に主題歌をつける作業です。
めっちゃ楽しかったです!!
サイコー!!
またやるぞ!!
 

ライブツイートログ8【 クリスマスプレゼントだよ! 『人物関係定規』 】

さーてそろそろはじめるかー

準備はいいかい? テレビの前のみんなー!!
おー、集まってきてるね。
じゃ、さっそくやろうか!

ライブツイート講座 クリスマス特別編!

『美風サンタからなろう作家のみんなにプレゼント!』

いくよー!!!

さて……
本当なら今夜はプロット教室第3回の締めを行う予定だったんだけど、
何しろクリスマスだからね。
今夜はプロット教室にふさわしい小説を書く時の新しい定規を用意してきた。

知っておいて損はないはずだ。

『人物関係定規』って言うんだけど――

お話を構築するさい、その背景となる人間関係――

1:主導権
2:力関係
3:主人公周辺

――の3つにおいて図式化したものだ。
図式化というより、必要要素を絞り込んだ物と言ったほうがいい。

さてその3つを画像で添付する。
 
人物関係定規1:主導権 人物関係定規2:闘争勢力図人物関係定規3:主人公周辺

さて、ここまでいいかな?
よし、それではそれぞれの定規について解説する。
色々と例題となる作品が出るから注意してね

まずは1の主導権

ファクターとなるのは
1:力(権力/武力)
2:金
3:技術

一つの組織をまとめ上げ、ある目的へと組織全体を進ませる際にだれが中心と鳴って主導権をにぎるか? と言う命題

たとえばエヴァンゲリオンのネルフ周辺だとこうなる

1:権力/武力:日本政府・国連
2:金:ゼーレ
3:技術:ネルフ

実はこの構図であえてこう書いたが、作中で1の権力/武力と2の金を象徴する物が見方によってゼーレが権力を持っているように見えたり、日本政府はただ金と場所と資材を提供するだけの金づるにしか見えなかったりするのがミソ。

実際にあのネルフとゼーレと日本政府の3すくみの構図の中で最終的に力を持っていたのは日本政府だったというのは、旧映画版の戦略自衛隊によるネルフ粛清を見れば一目瞭然だ。

エヴァにおいて、加持リョウジはネルフのゲンドウに対して尊大な態度で振る舞っていたが、彼の背後には日本政府があったと考えるべきだ。
ゲンドウはシンジをこの恐ろしい三角構図から逃がすために、あの手この手の作戦を練り、シンジの親友を傷つけてまで息子をエヴァから降ろした。
だが、それを政府関係筋のエージェントである加持が言葉巧みにエヴァに戻してしまう。ここでゲンドウは、この力と金と技術の主導権において決定的に敗北したのだ
これがTV版エヴァの『男の戦い』のエピソードの顛末なのだ
コレ以後、ゲンドウは精彩を欠き、ネルフからも降ろされるのだ

さて、この主導権の構図がもっと分かりやすい形で現れるのが――
タイムボカンシリーズの3悪である。

いやほんとに(笑)

第1作のタイムボカンのマージョ一味と
第2作のヤッターマンのドロンボーを比較しよう

①マージョ一味

金:マージョ
技術:グロッキー
力(武力):ワルサー

②ドロンボー

金:(該当なし)
技術:ボヤッキー
力:ドクロベー

こう言う違いがある。

マージョ一味はシンプルだ。
金持ちのマージョが主導権を握って、武力と技術を持った二人の子分を駆使してダイナモンドの横取り計画に奔走する。
マージョの悪っぷりが光るのだ

だがヤッターマンのドロンボーは違う

まず金の部分に該当する人物が居ない
だからインチキ商売で荒稼ぎする必要がある

さらに権力を持っているのがドロンボーの内部ではなく雇い主であるドクロベーだと言うことだ。ドロンジョは中間管理職と化して悲哀のあるお色気担当になり、トンズラーに至っては何の要素もない。(力すら無い)

タイムボカン最終作のイタダキマンの三悪に至っては
三人とも3つの要素を持っていないのだ!(何しろ浪人生の設定だから)
そら人気なくして打ち切られるわ(笑)

以上が1の主導権の定規だ。

続いて2つ目の『闘争勢力図』だ。

1の主導権が一つの組織、あるいは1つの目的に向けて進んでいる複数の集団を示しているのに対して――
2の闘争勢力図は真っ向からぶつかり合う異なる組織のパワーゲームのバランスを取り扱うことになるのだ。

例として文豪ストレイドッグスをあげる。

最初の盛り上がりの第1部と言える『対職人ギルド戦』のエピソード
フィッツジェラルド率いるギルドの日本への総攻撃の話だがこれを2の闘争勢力図にて描くと次のとおりとなる

①武装探偵社:情報+暴力
②ポートマフィア:暴力+金
③内務省異能特務課:権力
④ギルド:金+情報+権力+暴力

コレを見るとギルドが全てを所有していて圧倒的な勢力である事が一目で解る。だが対する武装探偵社もポートマフィアも片手落ちである。

だからこそ、ギルドの勢力を圧倒するために何らかの形で武装探偵社とポートマフィアとが連携し力を合わせる必然性が生まれるのである。

そしてこの2の闘争勢力図は別名こう呼ばれるのだ――

『大人の世界』

――と。

ここまでOK?

さて3つ目だ。

3の主人公周辺である。

完全に主人公から見た視点を中心として、それを取り囲む4つの要素からなりたっている。

1:主人公

2:仲間/同胞
3:趣味/技術
4:大人/目上
5:異性(または恋愛対象)

これを走り屋漫画の代表格『頭文字D』で表すとこうなる

1:主人公:藤原拓海

2:仲間/同胞:親友いつき、秋名スピードスターズの仲間、走り屋のライバルたち
3:趣味/技術:走り屋としての公道レース、ダウンヒルテクニック
4:大人/目上:父親の文太、ガソリンスタンドの店長
5:異性(または恋愛対象):茂木 なつき

さらにワンピースのルフィ

1:主人公:ルフィ

2:仲間/同胞:麦わらの一味のクルー、エース、サボ、ビビなど
3:趣味/技術:海賊としての冒険、
4:大人/目上:対立する敵海賊、海軍、シルバー・レイリー、ガープ、など
5:異性(または恋愛対象):ハンコック(いまのところ)

無論、この5要素が全て揃ってないケースもある

ガルパンの西住みほ

1:主人公:みほ

2:仲間/同胞:大洗学園の戦車道部の仲間、ライバルたち
3:趣味/技術:戦車道
4:大人/目上:文科省、父兄
5:異性(または恋愛対象):無し

頭文字Dの場合、要素としては仲間と技術の要素が大きく、大人は非常時以外は優しく見守っているだけである。そして5の異性はラブロマンスにならず、むしろ主人公の技術を乱すトラブル要素として働くことになる

ルフィの場合

3が趣味や技術の枠を大きく超えて夢や野望として主人公を突き動かす原動力となっている
2の仲間はそれを支援する味方であり、夢を共有する同胞である
4の大人はソレを妨害する阻害要因であり壁である
5にはルフィーは目もくれない。

3が何より大事でありそれだけが全てだからだ

最後のガルパンのみほ

分かりやすいくらいの青春スポーツ物である。
特に異性が全く居ない。ラブロマンスを挟む余地のないくらいに青春スポーツ物の構図だからだ。

大人はそれを支援する者も居れば、決定的に妨害する者も居る。

仲間の支援を受けて、目的であるスポーツという技術にむけて一直線に進むのだ。爽快ですらある。

そして、この3つ目の主人公周辺の構図はこう呼ばれる

「若者の世界」と――

そのため、主人公を若者として規定して描く場合、

若者の世界である主人公周辺と、
大人の世界である闘争勢力図が相互に関わり合いながら、物語が進んでいく。

1の主導権は大人/若者のそれぞれの領域で微妙に関わり合いながら進んでいくのだ。

まとめ的な最終例として『鋼の錬金術師』を上げてみよう。

一気に行く準備はいいか?

鋼の錬金術師の3つの定規

1:主導権

金:アメストリス国家+アメストリス国軍
権力:国家錬金術師、さらにその背後の国軍と、さらにさらにその背後の『お父様』
技術:錬金術師、練丹術師(シン国人)

2:闘争勢力図

アメストリス国軍:金+情報+権力+暴力
ブリッグス要塞守備部隊:暴力+情報
国家錬金術師:金+情報+暴力
一般軍人:暴力(武力)
イシュバール人:暴力+情報
ホムスクルス一派:情報+暴力
お父様:情報+暴力+権力

3:主人公周辺

1:主人公:エドワード
2:仲間/同胞:アルフォンス、ヤン、グリード、マスタング大佐たち
3:趣味/技術:錬金術、オートメイル
4:大人/目上:マスタング大佐たち、アームストロング、ヒューズ大佐、イズミ師匠、ホーエンハイム、ブラッドレイ
5:異性:ウィンリィ

実は鋼の錬金術師と言う物語の最大の『肝』だが――

この『大人の世界』の権力闘争劇と『若者の世界』のエルリック兄弟の冒険行とが、両面とも破綻すること無くしっかりと描かれており、物語当初では若者の世界の中の小さな領域でしか物が見れていなかったエドワードが困難にぶつかり成長しまたつまづき、さらに『大人の世界』の論理に圧倒され、挫折しつつも、それでも立ち上がり成長を果たして大人になり、堂々と大人の世界の中で、自らの悲願と夢を達成するという

『若者の世界』から『大人の世界』へと飛躍して行くシェチューションが存在するのである。

今月、公開された実写映画だが、はたしてこの構図はシッカリと描かれているだろうか? もし大人の世界が描かれておらず、エドワードの周辺だけを狭く描いて終わったのなら、ファンが激怒したとしても不思議ではないだろう。

(なんかこのオチっぽいな、映画評を見てると……)

さて次で締めである

さて、クリスマスプレゼント『人物関係定規』

ご理解いただけただろうか?

色々と工夫しながら活用してほしい。

今回の講座はここまでだ!

乙でした!

ζ
■D:美風

■お知らせニュース【レビュー依頼行為について、なろう運営さんに聞きました】

Twitterやネットの一部で『レビュー依頼行為は、なろうに規約違反だ!』と騒いでる連中が湧いてるそうです。

コレ完全な誤解と誤認なんだが、白黒つけるためになろう運営さんに聞きました。
その結果についてお知らせします。

結論から言うと【レビュー依頼行為は無問題です】

【今回のなろう運営さんからのレビュー依頼についての回答の主旨】

①規約への抵触については個々のケースを勘案して総合的に判断する
②原則として常識的な範囲でユーザー間交流として行われているレビュー希望の募集行為や、レビュー依頼などに対して運営が指導や警告などは現状ではしていない
③ただし以下のケースは運営対応(つまりはお叱り)の対象となる

A:レビューにたいして対価を要求する(有料だったり、自作品への評価点の入力を要求したり、その他利益行為を求めたりする)
B:明らかな脅迫行為や過度の要求行為があった場合

(冷静に考えれば当たり前だが)

つまり――

(´・ω・`)ノ <[なろうユーザー同士での交流の一環として、自由意志による善意で無償/無利益で行われているなら、依頼募集も依頼をして書いてもらうことも問題ないよ。ただ問題として捉えるケースは個々の状況を交えて考慮するからね]

――と言う事
極めて常識的なお答えでした
だから――

【レビュー依頼をしただけで垢VANされる様な大理不尽は絶対ないから安心してくれ!!】

(俺も安心した!)

ただ次に書く行為は間違いなく垢VANされるゾ!

・評価点の入力の依頼
・有料でのレビュー執筆

( ・`д・´)
つまりねランキングの上下に関わる評価点の入力を恣意的に依頼する事も受け付ける事もこれは間違いなく規約違反。垢VAN最短ルートです
(評価依頼とは本来この事を言うのだ!)

レビュー依頼者から利益対価を得てのレビューもアウト。これは今回はっきりとわかった

結論としては――

ランキングの信用を損ねる行為は、恣意的、無作為を問わず警告対象になります。
しかしユーザー間交流の範疇として認められるものは暖かく容認してくれるそうです。

以上!!

ζ
■D:美風


あけましておめでとうございます!

あけましておめでとうございます!

本年もよろしくお願いします!

美風慶伍

今年も小説に支援サイトにがんばります!

ライブツイートログ7【 プロット教室『3つの幕と真ん中の点』③ 】

#ライブツイート講座
#プロット教室

さて、そろそろ準備するか。

ツイッターの前のみんな、準備はいいかーい?

それじゃさっそくはじめます

ライブツイート講座
プロット教室第3回『3つの幕と真ん中の点』

第3幕――結末について

はじめるよーーー

OK?

さて。映画『ルパン三世カリオストロの城』を題材にプロットについて考察するこの講座
いよいよ、締めの第3幕目についての解説となった

つまり
1:序:発端
2:破:進行と転換
3:急:解決

の3の急:解決――の部分だ

その前にカリオストロの城のプロットを再度掲示する
 
カリ城第1幕 カリ城第2幕
カリ城第3幕 
ツイッターの表示形式が微妙にかわったのでつかいづれぇ・・・(# ゚Д゚)

さて
序破急に分けたプロットは確認できたかな?
確認できたら第3幕の部分を見て欲しい。

OK?

じつはこの第3幕では全く新しい要素は何も加えられていない。

婚礼の儀、
大司教の来訪、
国際中継、
銭形とICPOの確執、
ルパンとクラリスの馴れ初め、
伯爵の真の野心、
ゴート札の存在、
カリオストロの暗殺の歴史

――これらはすでに序と破の段階で語られたものばかりである。

実は第3幕というのは、序と破の部分で貼られた伏線があってこそ成立するセクションであり、伏線回収が成功してこそ、綺麗に成り立つ部分なのだ
特に危機的状況の解決のための『解決手段』と言うのは、結までの部分ですでにヒントが与えられている必要があるのだ

ルパンの場合は不二子が与えた『大司教の来訪』と言う部分だ
さらに銭形に対しては電話でルパン逮捕なら大手を振って突入できるとヒントを与えている
実はこの銭形突入に不二子がついて行っているシーンがラストでの不二子の原盤奪取につながっており、二重に連鎖した伏線となっているのである

実はプロット作成において最も苦労するのがこの『伏線』である

伏線の提示にはいろいろな手段があるが、
要は『クライマックスの解決』のための解決手段を『事前に仕込む』事が
伏線の主たる役割なのである。

本編を執筆してからでは伏線は貼れない
文章を起こす前に伏線を成立させるためにこそ、プロット作成と言う作業が必要なのである

この第3幕でレクチャーできる要素はたったひとつだ
『第3幕で描く要素は、全て第1幕・第2幕にて準備済みの物のみとする』
これは絶対に守らねばならない

OK?

さて、商業作品でこのルールが守られなかったばっかりに、最終回が台無しになってしまった作品がある

合体ロボットアニメの名作『コンバトラーV』である。

敵勢力キャンベル星人のボス、ジャネラ女帝は自分が死ぬ時に、
地球を破壊できるほどの巨大核融合弾を作動させる。
絶望するコンバトラーチームたち。

ところが――

キャンベル星人の穏健派を名乗る神様みたいなのが登場、不思議な力でいきなり巨大核融合弾を消滅さてしまう

この穏健派の存在はまるっきり前フリ無しで事前伏線もゼロ。
最終回の一番ラストに突然出てきたのだ。感動もへったくれもあったものではない。主役たるコンバトラーVの面目は丸つぶれで終わる。

つまりだ――

こう言う終わらせ方を『デウス・エクス・マキナ』と呼び『機械仕掛けの神』とも呼ぶ。

シナリオの伏線回収も無く、事前前フリもない要素で、物語の締めを強引に行うことをこういうのである

この手段で作品を終わらせてバッシングを受けた作品はけっこうあるのだ

少年ジャンプでヒットしたギャグマンガ

「ハイスクール奇面組」

フジテレビ系のアイドルが主題歌を歌ってヒットもしてる。

長い連載の後に、最終回のラストで「ヒロインの見ていた夢でした」といきなりの夢オチを敢行。単行本ではラストを書き換える羽目に陥ってる

そして、伏線を貼るだけ貼って、回収せずに逃げ切ったのが
旧作の新世紀エヴァンゲリオンである。

これについてはアレコレ言う必要はないとおもう

謎をちりばめるだけ散りばめて意味不明のラストシーン
あれではファンは怒るの当たり前である

伏線における『謎』とは

プロット作成における『借金』である

読者から『興味』と言う利益を前借りしているのである。

借りたものはシッカリと返さなければらない。
それも読者・視聴者が納得する方法でだ。

そして謎を謎のまま放置する場合でも『借金の踏み倒し方』と言うのがあるのだ

謎だらけのストーリーでありながら借金を返さずに見事に華麗に踏み倒しきった名作がある。

富野由悠季監督のつくった傑作『無敵鋼人ダイターン3』である。

次に説明する

ここまでOK?

解説している人間が古いからねスマン

実はダイターン3は序と破の部分で――

主役の波乱万丈と、敵サイボーグ・メガノイドの開発者は元々は『同じ家族』
万丈の父はマッドサイエンティスト(後に行方不明)
母と兄はメガノイド開発実験の犠牲となった
メガノイドの首領の二人は『夫婦』
サイボーグ・メガノイドはメガボーグと言う巨大ロボットに変形できる

――と言う伏線がはられている

これらの伏線から

敵首領夫婦は波乱万丈の行方不明の両親の成れの果てなのでは? と言う憶測を視聴者に与えることになる。そしてこの『謎』は最終回まで引っ張られ視聴者をガッチリと掴んでしまう

さらには主役ロボのダイターン3ってもしかして、万丈の兄さんのメガボーグなんじゃないの? と言う憶測すらできてしまう。

そこから最終回では『兄の亡骸を使って、父と母の成れの果てと戦う主人公』と言う悲劇的な構図を『視聴者の疑念の中だけで』成立させてしまうのだ

事実最終回は悲惨なもので、正義のロボット物にありがちな
『平和が戻ってきた! みんなの勝利だ!』
みたいな感動はまるっきり無い

最終先頭で敵を倒し、心身とも擦り切れてしまった波乱万丈がどこにも出てこないと言うラストにつながる

そしてアニメ史に残る感動のラストを成立させているのだ

もう少し横道にそれる

最終決戦を終えて地球に戻ってくるが、主人公たる波乱万丈は消息不明のまま。
そればかりか万丈が運営していた波乱財閥は活動停止、解散の憂き目に会う。
二人のアシスタントも、万丈を慕う少年も、そして極めて有能な執事も万丈の下を去ってしまう
誰も居なくなった万丈邸、それを執事のギャリソン時田が鍵を締める。

そして、万丈邸前でバスを待つ時田の背後で、朝焼けに照らされた万丈邸がうつる
その万丈邸の端、テラスのある部屋で朝日に映し出されて一人のシルエットが映る。
だがそのシルエットが何者なのかは描かれない。
あれは地球に返ってきた万丈本人なのか?
万丈は幸せになったのか?
すべてが語られず、余韻の中で物語は終わる。

単なる勝利譚に終わらない大人の余韻に満ちたラストシーンである

この『視聴者の憶測の中で謎の真実を成立させている』と言うのがミソである。

『結論と真実ってこういうことじゃないの? こうだったら納得できるんだけど』と言うところまで視聴者・読者の思惑と関心を持っていくとに成功しているのである

だが富野さんはこの謎をあえて解説しない

『本当はどうなのかは貴方が考えてください』

――と言うスタンスで一切に口をつぐんだままなのだ!

これが『謎』と言うものに責任を持つというあり方であり、説明責任何もなく〝まとめきれなかった〟と言う残念感だけを残して終わった旧エヴァとの根本的な違いなのだ。

(以上、個人的脱線終了)

脱線、してすまん

さてカリオストロに戻る。

カリオストロの城で貼られていた伏線について説明する

人物について
クラリスはカリオストロの大公夫婦の娘
大公夫婦は火事で死亡
クラリスは修道院で暮らしていた、
だがカリオストロ伯爵との婚姻の為に連れ戻された
カリオストロ伯爵は公国の闇を担っている

犯罪:
ゴート札の存在
公国の裏事業としてのゴート札
公国は国際社会に影響力を持っている

お宝:
クラリスの指輪と伯爵の指輪、それが合わさって秘宝が手に入る
指輪には秘宝の謎が仕込まれている

婚礼の儀:
伯爵主催でクラリスとの婚礼が強行される
その際に法王庁の大教皇が来訪する

ルパン関連:
ルパンはカリオストロにて過去がある
ルパンとクラリスは面識がある
ルパンもゴート札を狙ったことがある
銭形の行動はルパン逮捕のためだけに許可される

―だいたいこんな感じ

これらの伏線が回収へと向かい始めるポイント――
それが前回説明した『ミッドポイント』なのである

ミッドポイントは、お話の折り返し地点と呼ばれているが、
それはこの伏線回収に絡む部分もある。

ミッドポイント以後、それまでの貼られた伏線や謎が順次解き明かされ、
またクライマックスでの危機的状況の解決には、事前に伏線で貼られている事が求められる――

ここまでは理解できたとおもう

そして、最終決戦が集結し、危機的状況が解決し事態が好転する
(ハーフハッピーエンド、アンハッピーエンドの場合はこの限りではない)

そして事態解決の後に訪れるのが『ラストシーン』である

カリ城の場合、ラストシーンはルパンがクラリスを抱いたまま水路入り口へとたどり着くところから始まる

実はカリ城は、このラストシーンに本作最大の伏線にして謎の解決を持ってきている。

つまり『カリオストロに隠された秘宝とはなにか?』と言う謎である

これがあるからクラリスは伯爵に狙われ、ルパンも公国へとやってきたのだ
そしてそれが湖底に眠る古代ローマの遺跡だと明かされる

それはルパンのような一介の泥棒には身に余る物であり、その時点でその秘宝を担うのがクラリスの役目なのだと視聴者に暗に匂わされている

そしてその後のシーンでクラリスのルパンへの告白とつながる
だがそこでルパンはクラリスを拒む。抱きしめずに別れを告げる

このクラリスの求愛の拒否と、秘宝がルパンにはそぐわない身に余る巨大な物だと言う事実はリンクしている。
これもまた伏線であり、クラリスがルパンにとってあまりにも身に余る存在だという事実を突きつけて最終シーンの締めとしている。

そして観客は知るのだ

『ルパンは英雄ではない。泥棒と言う犯罪者なのだ』と――

ここに作品の根源的テーマと方向性である

『泥棒を主役にした冒険活劇』

と言う要素の消化と解決が見られるのだ。

すなわち――
作品のラストシーンは単なる終焉ではない。
作品の根源的テーマを最終解決する、最大のメインテーマ回収セクションなのである。

そしてさらに言うなら

作品の全ての伏線の要素は最終ラストシーンに帰結するのだ

この事を十分に考えるとラストシーンの重要さがよくわかると思う。

さて、今回はここまで、
次回でいよいよ第3回のラストである。
つまり――

『作品のプロットテーマの消化と、ラストシーンについて』

――である

プロット教室の最初にて『テーマ』と言う言葉を使って若干の混乱を起こしてしまったが、アレのリターンマッチである。

作品を書き始める場合、スタート地点が必要である
そしてその作品全体の向かうべき方向性を把握し、プロット構築の主軸となるもの――それが『プロットテーマ』である。
この場合のテーマとは『作品の根源的要素を文章として短く示した物』だ。

いわゆるテーマ性とかメッセージ性のことではない

作品のアイディアや構想をこのプロットテーマに起こすところから全ては始まるのだ。

さて、今回は以上だ。
次回は予定変更がなければ12月23日だ。よる9時から開始する

さてここでお知らせである!

サンクス・スクエア主催掌編小説コンペ『11枚小説』

第1回目を来年1月末に開催する事となった!!

来週週明けに詳細内容をサンクス・スクエアにて告知する!

美風初の小説コンペ主催である!1

それともう一つ!!

わたしは古い世代の人間なのでどうしても題材が古くなる

ツイート講座をご覧の方の中で題材として出して欲しい比較的最近の作品があったら推薦して欲しい。
(マジで)

できれば映画の方が助かる

どうかご協力願いたい。

さてでは今日はこれにて終了である!
お疲れ様でした!
 

ライブツイートログ7【 プロット教室『3つの幕と真ん中の点』③ 】

#毎週定期開催
#ライブツイート講座
#プロット教室

みんなー! 準備はいいかーーー!!

では美風慶伍のライブツイート講座
プロット教室、通算第5回目
『3つの幕と真ん中の点』
はっじまーるよーーー!

この最初のレスが返ってくるまでの時間が何とも(;^ω^)

さてさてではさっそく始める。
プロット教室の第3回『3つの幕と真ん中の点』

プロットに序破急に相当する3パートについての開設だ。
前回は第1幕について説明した。

カリ城第1幕 
①序:発端

――の部分だ。

ここまではOK?

プロットの題材には金曜ロードショーのおなじみ、
カリオストロの城を扱ってる。

前回、第1幕のプロットを掲載したのでまず再掲する

前回を要約すると

第1幕では
 1:ツカミ
 2:5W1Hの状況説明と情報共有
 3:登場人物の紹介とキャラ立て
 4:お話全体を引っ張る『ネタフリ』
――が行われ、それらを前提として『事件』が発生する。
 そして、その事件の結末をもって第2幕へとお話を結びつけていく。ここまでが第1幕

そして、第1幕のラストで発生した事件をきっかけとして第2幕の序盤に発生する問題へとつながる。そしてお話の本筋である第2幕――

②破:進行と転換

――へとつながっていく。
カリオストロの城の第2幕:破について書いたプロットが以下である。

カリ城第2幕 

非常に中身が濃く、怒涛のように事件と出来事が発生しているのがわかると思う。

そしてこれが物語の〝序盤〟と〝急展開〟を繋ぐ〝破〟の部分なのである。

さてそこで質問だが――

小説のプロットを書いていて、

序盤のキャラ立てはなんとかなる。

終盤のクライマックスでの盛り上げもどうすればいいかは想像つく

だが『その序盤とクライマックスをどう繋いだらいいかが分からない』

と言う人は居ないだろうか?


分かりやすい程のお答え。ありがとうございます。

ここでまず、カリ城の第2幕の流れについて考察してみよう

カリ城のお話の骨子は、ルパンの窃盗劇である。

つまり目的となるお宝の在り処へと侵入し、お宝を探し、困難をのりこえて盗み出し、目的地から脱出してくるのがキーフレームである

そして、そのお話のキーフレームの土台となる――

・人物/状況説明
・登場人物たちのキャラ立て
・お話全体を貫く『ネタ振り』

――を行うのが第1幕である。

つまり第1幕にて第2幕にて必要なものがちゃんと用意されていれば第2幕は動き出すのである

そして、カリ城においてなされているネタ振りは

1:カリオストロ公国と言う国
2:偽札・ゴート札
3:公女クラリス
4:カリオストロ伯爵とクラリスの婚礼の儀

――が挙げられる。

そして、それらを動かすためのキャラとして、

ルパン一味+銭形+埼玉県警機動隊
クラリスと、クラリスゆかりの庭師の老人
カリオストロ伯爵
城の衛兵
暗殺者・影

――が出揃う。

そしてネタ振りを主役であるルパンが動かす事で第2幕が進むのである。

ここまでおK?

先に核心から書いてしまうが

第2幕:破は進行と転換である

2つに分かれているのである

つまり第2幕ではクライマックスに向けて一本調子で順調に進んでいるわけではなく、途中にて一旦、イベントが発生するのである。

前半でおこなわれるのが、
まず問題解決への行動である
第1幕の終盤で発生した事件は、お話全体に関わる問題解決を深刻化させる出来事であり、それを回避、ないしは解決するために主人公が行動を起こす。

すなわち、決断し、時には葛藤し、障害を乗り越えてひたすら進むのである。

カリ城のルパンの場合、
貯水池の入り口からルパンと次元が侵入し、クラリスが監禁されている部屋へとたどり着き、地下へと落とされても銭形と共闘して脱出に成功、再度クラリスを救助しようと向かうまでがそれである。

途中、いつかのトラブルが起きるが、何れも大きな問題とはなっていない

むしろ、再び、クラリスのところへとたどり着くまで、ルパンの心境に変は無く、まっすぐに〝お宝〟へと向けて果敢に挑んでいるのである。

これが第2幕前半である。

だがそこに投下される巨大イベントがある

【ミッドポイント】である。

ここまでOK?

実は第2章にていちばん大切なのが、このミッドポイントの存在である

お話の折り返し地点と言っていい。

実は第2章は一本調子でクライマックスへと進むわけではない。

比較的順調に進んでいた主人公たちの行動や物語にひと波乱が起き
主人公たちに心境的な変化が現れるのである

この心境の変化をもたらす事件こそが『ミッドポイント』である

だから物語に盛り上がりがある著名な作品を見ていると中盤のど真ん中にて大きな事件が起き、それにより主人公が強く心変わりして、
それによりクライマックスへと新たに強い意志と目的意識で、行動を再開しているのである

例をあげる

天空の城ラピュタだが、
主人公パズーの心境の変化から見ていると大きなターニングポイントになる事件がある。
ムスカによる拉致である。

シータは奪われ、金銭をあてがわれて保釈され、意気消沈で帰宅する
そこに現れるのが空賊のドーラ一味、そして船長のドーラおばさんである

このドーラおばさんとの邂逅により、パズーの心に大きな変化が起きる。

そしてシータの救出とラピュタ到達へと向けた強い意志がパズーに芽生えるのである。

そしてここから劇的にシータの奪回、空賊への加入、ラピュタへの出発とつながり、父の旅路を追いラピュタへ到達へと向かうのである

例をもう一つ

仮面ライダーWのビギンズナイトだ

左翔太郎は師匠であるおやっさんの変身である仮面ライダースカルに出会い敗北、否定されることで打ちのめされる。

そしておやっさんが死んだ思い出の地へと赴き感傷に浸る。
だがそこにフィリップが現れ口論となり、その末に和解するのだが――

そこでフィリップは翔太郎にこう問うのだ。

『もう一度聞くよ? 悪魔と相乗りする勇気あるかな?』

そして翔太郎はそれに誠実に答えて再び、探偵として事件解決のために立ち上がる勇気を取り戻すのである

これが『ミッドポイント』の一例である。

ここまでOK?

さて、カリ城の場合はどうだろうか?

ルパンの心境と言う点で見るなら
大きなターニングポイントとなるのが

『2度めのクラリスへの接近と、狙撃による負傷、そして、指輪の強奪』

である

そこまでどんなトラブルにあっても
『空だって飛べる』と豪語して乗り越えているルパン
だが――

それが徹底的にうちのめされ瀕死になり、クラリスという目的としたお宝も、紋章の指輪も奪回されてしまい、ほうほうの体で逃げ出す羽目に陥るのである。

この時、ルパンは身も心もズタズタである。

このミッドポイントでの変化は色々とある、
挫折からの再起、
散り散りとなった仲間の再集結
絶対的な敗北、不屈の復活

具体的にはこうだ――

ラピュタのミッドポイントはキーは『心理的成長』だ

子供の世界の中での逃避行からムスカという大人に阻止され撤退
だがドーラと会い負け犬根性を喝破され覚醒する
故郷を捨てる覚悟を決め、大人でも子供でもない自分自身として
シータを奪回、そして父と同じ『冒険者』としてラピュタへと旅立つのだ

仮面ライダーWビギンズナイトのミッドポイントは『再確認』

絶対的な心理的ささえであった師匠鳴海荘吉、そのおやっさんに敗北し否定されることで探偵としての自尊心を失う。
だがそこに現在の信頼できるパートナーであるフィリップと衝突し
なぜフィリップと相棒となったのかを再確認することで――
自らの探偵としての出発点と動機とポリシーを取り戻し
再び『帽子の似合う探偵』として戦い始めるのである。

ならばカリ城の場合はどうだろう?

カリオストロの城のミッドポイントは『敗北』と『不屈』である。

僅かな隙を見せたことで老獪なカリオストロ伯爵とその手下たちにまんまとしてやられ、すべてを奪われるルパン。
だが、彼はそれでも折れない。一度盗むと決めた〝お宝〟に向けて、死に物狂いで再起を目指す。そして――

婚礼の儀の際にバチカンから大教皇が派遣されるとの情報をえて、
泥棒として再度、お宝を盗むための挑戦をしかけるのである。

まずここまでOK?

そして、ミッドポイント以後の後半。

どん底からの復活、
心理的な変化、
そして、問題の最終的な解決のために新たな解決策を主人公たちは獲得する。

そして来るクライマックスへ向けて、
最大の障害を乗り越え打ち破るための最終決戦へと望むのである。

実は第2章の後半は物語の進行が急速に早くなる。
当然である。
結末に到達するまでに発生しうる大きなトラブルが
クライマックスの最終決戦だけなのだから、余計なトラブルや枝道を仕込む余裕はもはや残されて居ないのである。

ストーリーのスピードと展開を一気に加速させて、
第1章と第2章前半までに積み上げてきた伏線やキャラ立てや、エピソードを踏み台として、ラストへ向けて一直線に進むしか無いのだ。

そしてそうなるように、ココまでの時点で事前情報を回収し終えておかねばならないのだ。

カリ城の場合は、敗北後に庭師の老人の家で、
クラリスとの馴れ初めの過去が語られる。
そしてなぜ、ルパンがクラリスを救うことに熱心にならざるをえないのかがあらためて説明される。

そうする事で、この時点までのルパンの行動の全てに必然性がうまれるのだ。

そしてそれがあるからこそ――

『なぜ、ルパンはカリオストロ伯爵に挑み、彼を排除しなければならないのか?』と言う理由付けが成功するのだ。

それが成功した時、物語は第3幕へと突入する。

1:序:発端
2:破:進行と転換
3:急:解決

の中の急:解決である。

さて、ココまでで第2幕の説明となる

OK?

補足、

ラピュタの第2章後半で回収された物は
『パズーの父は本当にラピュタにたどり着いたのか?』
と言う疑問の解決である。
父と同じ旅路を進みラピュタへとたどり着いたことで、その疑問が解け核心へと変わる。そしてラピュタでの最終決戦へとつながる

仮面ライダーWビギンズナイトの場合は、
事件の解決と、復活して現れた鳴海荘吉と仮面ライダースカルの正体の喝破。探偵として事件の核心を解決することで、真犯人との最終対決へとすすむのである。

さて、そろそろ時間的にアウトとなってきた。

第2幕の説明として不備なところもあると思うが
今日はいったんここまででシメとしたい。

次回、来週土曜日の夜9時から、第3幕の解説を行いたいと思う。

さてそこでお知らせだが――
今回の第2幕の説明だが、
これで十分とは思っていない。

もし、まだわからない所。
疑問のある所があれば、レスでもDMでも良いから送ってほしい。

次回のライブツイート講座の際に回答したいと思う

よろしいか?

それにしても――

第2幕の破

本当に難しい!
解説を考えるだけでも凹みそうです!
いい解説になっていると良いのですが――

皆様の手助けになっていると信じて――

また来週!!!!!

|ω・`)ノシ

ライブツイートログ6 【 プロット教室『3つの幕と真ん中の点』② 】

 ライブツイート講座!
 はじまるぞー

 準備はいいかーー?!

 おぼろ月夜の頑張り入道・美風慶伍です!

 ライブツイート講座
 プロット教室第3回
『3つの幕と、真ん中の点』その2
 これから始めたいと思います!

 アー・ユー・レディ?

 反応が心もとないですが始めます。
 さて前回、プロットを3つのパートで分けるという事を説明しました。
 すなわち『序・破・急』です

この序破急をさらに分けると――

1:序:発端
2:破:進行と転換
3:急:解決

――と言う形になる

 さてここまではいいかな?

 さて、序、すなわち発端とは、いわゆる『ツカミ』の部分だ
 世界観を提示し、登場人物や状況を読者に伝え、登場人物であるキャラを立てて行き、ストーリーの方向性を決める『ネタフリ』をするセクションである。

 次に来るのが破、そして進行と転換
 物語が勢いを増し、最大の山場へと向けて加速していくセクションだ。もちろん、最大の山場のクライマックスでの問題解決に向けて『伏線』を貼っておくのもこのセクションである。

 そして3つ目が急、そして解決
 破から急にかけての最大の山場での最難関の障害が立ちはだかり、これ解決と障害克服に向けて、主人公たちが行動する部分だ。
 当然、序でのネタフリや、破での伏線はここで回収される

 そして事件は解決と収束へと向かい、終幕、さらにオチへと向かう

 ここまでOK?

 さてでは前回、サンプル作品として以下の作品を提示した

 1:ルパン三世カリオストロの城
 2:銀河鉄道999映画版
 3:特攻装警グラウザー第0章 (ーー;)

 3はともかく1と2は知っている人は多いと思う。

 念のため聞くが1と2、知ってるよね?

(ここでアンケートをやった)

 あらら、999は見たことない人が多いのね(汗)

(注、つべやデ○リー○ーションにおちてるよ!)

 では今回はまず1のカリオストロの城から始める。

 2の999もプロットづくりのサンプルとしては分かりやすいので可能なら目を通して欲しい。

 さてここまでいいかな?
 
 これまでにプロットづくりのツールとして

『プロット定規』

――についてレクチャーしてきたが、今回はこれまでに説明した『3つの幕』を意識して、カリオストロの城をもう一度プロット定規で書くことにする。
 ただ一括して貼り付けると大きくなるので、今回は各幕ごとにツイートしていく。

 さてでは最初の第1幕――
 ルパン三世カリオストロの城の序の部分を貼る。
 前回のプロットよりかなり細かくかいてるのでよく見て欲しい

カリ城第1幕 

  さて、読めたかな? では解説に入る。

 ルパン三世はキャラとしては怪盗物に入る。
 ターゲットであるお宝のもとへと自ら侵入し、障害を突破してこれを強奪。さらに侵入対象から脱出してくるのがお話のメインフレームである。当然これはカリ城でも同じである。

 その為にはシナリオ的にはまず、窃盗対象のターゲットを決める所からはじまる。
 それがまず最初のツカミのカジノ襲撃である。ここでルパンたちが泥棒であること、そしてルパンが次に狙おうとするのが『ゴート札』なる偽札である事が明示される
 非常にシンプルなツカミである。

 次いで、OPの後に場面はヨーロッパ山中のカリオストロ公国へ。
 リヒテンシュタインやスイスやドイツの山岳地帯を彷彿とさせる場面の中、会話にてルパンの口からカリオストロ公国がいかなる国でいかなる環境にあるのかが語られる

 ここでおぼえてほしいのが『5W1H』である


■5W1H――

いつ(When)
どこで(Where)
だれが(Who)
なにを(What)
なぜ(Why)
どのように(How)

――これらの物語の基本となる前提情報を、読者と作者の間で共有しなければならないのだが、それを分かりやすく可能な限り自然に表現して読者に提供するのが、第1幕の最初の役目である


カリ城の場合――

いつ:現代
どこで:カリオストロ公国
だれが:ルパンと次元
なにを:ゴート札を
なぜ:泥棒稼業のため
どのように:盗みに向かう

――と言う必要情報が端的に示されているのである

 私は今まで多数のレビューをしてきたのだがお話の冒頭部にて、この5W1Hの提示と読者との共有が、しっかりと行われていない作品に多数遭遇してきた。作者が必要な説明を忘れて、説明したつもりになっているケースが結構あるのである。逆に優秀な作品ほど、必要な情報を必要なだけ適切に提供できているのだ

 そして、次が最低限必要な登場人物の登場――
 すなわち『登場人物のキャラ立て』である。

 ルパンと次元、五右衛門、不二子、銭形と言った定番に、カリオストロ公国の人々や、カリオストロ伯爵、伯爵配下の衛兵や暗殺者『影』そして、肝心なクラリス姫と、庭師の老人
 これらが一通り顔を出すのだ
 お話を展開する上で事前に紹介されていなかったキャラが、後半になりいきなり登場するのは避けたい状況なのである。なのでお話の重要部分に関わる人物たちはこの第1幕で出しておかねばならないのである。

 そして、もう一つが――

『ネタフリ』である。

 ネタフリ――
 つまりはそのお話の中でのもっとも重要な情報や出来事やエピソードにして、登場人物の行動目的となる物が読者に対して示される事である。

カリ城の場合、

『カリオストロ公国』と『禁断の偽札・ゴート札』
『クラリス公女』と『摂政・カリオストロ公爵』と二人の婚礼

――がこれにあたる

 さて、ここまでOKかな? 今回は長いよー頑張ってついてきて!

 さて、第1幕の中でのこれらの情報が提示され、読者と作者の間で共有が完成したとする。
 そこでお話を動かすために起こるのが『事件』である。
 だがカリ城の第1幕では事件は3つ起こっている

 1つ目が、冒頭でのルパンたちによるカジノ襲撃
 2つ目が、カリオストロ公国入国後の、クラリス姫をめぐるカーチェイス
 3つ目が、ルパンと次元が暗殺者『影』に襲撃される一件だ

 じつはこの3つ、シナリオ的には意味が全く異なるのだ。

 カジノ襲撃は『ツカミ』ルパンと次元と言うキャラを紹介しゴート札の存在を提示するシーンだ。
 クラリス姫カーチェイスは、カリオストロ公国の実体とクラリス姫の存在を視聴者・読者に示す部分でキャラ立ての一つである

 本当の事件発生は3つ目の暗殺者襲撃なのだ
 この暗殺者襲撃が起こることで、カリオストロ伯爵と、クラリスと、指輪を保持しているルパンとが結びつき、お互いに関わり合う必要がうまれるのである。ルパンとしても城への侵入の難易度が上がり状況が悪化するのだ。
 ルパンの『おもしろくなってきやがった!』のセリフにはこんな意味が有ったのだ。

 さて、第1幕のラストでは、この『事件発生』が起こる
 状況が悪化、ないしは深刻さが増し、より主人公たちの行動が重要になり、必然性が生まれてくるのである。そして、そこで生じた勢いを保ったまま、第2幕へと登場人物たちを動かし、第2幕でのお話の流れの出発点として機能するのである

 つまり第1幕では

 1:ツカミ

 2:5W1Hの状況説明と情報共有

 3:登場人物の紹介とキャラ立て

 4:お話全体を引っ張る『ネタフリ』

――が行われ、それらを前提として『事件』が発生する。

 そして、その事件の結末をもって第2幕へとお話を結びつけていくのである。
 ここまでが第1幕である

 っと――
 本当は今日でカリ城の3つの幕全部を解説するつもりだったが、想像以上に時間がかかった。
 全部終わるのに朝まで掛かりそうだ(汗)なので今日はココまでにしたい。
 私としては、まさか解説にこんなに時間をとるとは思わなかった。予想外である(汗)
 資料はすでに造ってあるので、来週は必ず開催する。
 
 開催時刻は土曜9時スタートである。
 では次回。
 プロット教室、第3回『3つの幕と真ん中の点』③
 に続くっ!! はでわ!

ζ
■D:美風

ライブツイートログ5【 プロット教室『3つの幕と真ん中の点】① 】

よーいしょっと

さて、そろそろはじめるか

えー、一週間ぶりのご無沙汰、ライブツイート講座

プロット教室。

第3回目なんだけど……

ほんとに需要あるかな?
ちょっと不安

需要は
全く反応ねぇ……・ω・

よかった。反応あったのではじめます。
よういはいいか?
では、ライブツイート、プロット教室第3回目
『3つの幕と折り返し地点』その1
はじめます。

さて、1回目と2回目で、プロット整理の道具である
『プロット定規』について色々と説明してきた。
おさらいとして表示する。

[オチ]

これな。

実際の使い方を画像で貼る。

映画カリオストロの城の場合のプロット定規である。
 
カリ城1 カリ城2 カリ城3

ここまでOK?

よし続ける。

さて、今回話すのは実際のプロット定規の使い方の中で、
『序盤』『中盤』『結末』と言う3つのパートの存在についてである。

例のプロット定規の中で私がプロットポイントと呼んでいる

『 ┼ 』のマークのことである。

これの具体的な使い方についてだ。
実は前回、前々回、『起承転結』は忘れろといったが、
あれは小説のためのものではなく、本来は4コマ漫画のためのものだからだ。

小説やシナリオの世界ではこう呼ばれるのだ。

『序破急』と。

この序破急の流れを『3つの幕』と呼ぶのだ。

ここまでOK?

では、序破急のそれぞれの要素について説明する

序:

 まずは物語とキャラクターの『つかみ』の部分。読者を作品の中へと引っ張り込む部分。
 そして、主人公を中心として、状況説明や、世界観の提示
 さらに〝行動の動機〟〝主人公の現時点に至るまでの経緯〟

さらには〝これからなにをしたいのか?〟〝どう言う目的があるのか?〟
と言う事を読者に対して理解してもらう部分だ。

そしてそれらの事を通じて、主人公をより魅力的に『立たせる』作業を行うと言うセクション。

それが『序』である。

まずOK?

次に『破』

序でつくられた世界観や登場人物たちが動き出し、一つの方向へとその動きを加速させるセクションである。

まず先の序のラストで事件が起こり、この事件を追う形で物語が加速を始める。そして、さらなる障害の発生や、主人公の挫折、あるいは問題解決のための試練が起こり――

クライマックスへと向けて、状況の変化起こり、
主人公たちの行動に対する最大の試練へと繋がるセクションである。

物語の目的を失わせず、読者をしっかりとひきつけ、そして、クライマックスとラストへと物語を一気に牽引する重要な部分、それが『破』である。

ここまでOK?

さて、いよいよ『急』だ。

結で無く急

その意味をじっくりと考えて欲しい。

先の『破』のセクション、
そのラストで作品最大の困難が登場人物たちを待ち受ける。そして、その最大の困難のまっただ中へと飛び込む瞬間、それが『急』の発端である

この『急』のセクションでは
端的に言って物語を結末ヘと向かわせるための事件解決のエピソードが描かれる
だが単に取ってつけたように解決されるのではなく、ここまでの『破』の部分で事件解決・問題解決のためのいとぐちがあらかじめ描かれている事が多い
これを一般に『伏線』と言う

すなわち『急』とは、『破』までの流れの中での伏線を回収しながら、
物語のクライマックスで描かれる最大の試練・困難を克服し乗り越えながら、主人公たちの目標を達成し事件解決へとつなげるセクションなのだ。

そして、さらにこれに続くのが『オチ』である。

ここまでOK?

事件が解決し、主人公や登場人物たちに変化が現る。
そして、それは幸せであることもあり、そうで無いこともある。

それらを読者へと提示し、余韻をあたえ、物語を締めくくる部分であるのだ。

これが『オチ』だ。

伏線をしっかりと回収し、事件を収め、物語をきちんとまとめあげる。
それがが理想的なオチであり、理想的なラストシーンなのは言うまでもない。

さて、ここまでOK?

さて、残念ながら今回はここまでだ。

次回はこの序破急の3幕の実戦と、
3幕の効果的な活かし方に絡む『ミッドポイント』と言う重要点について説明する。

そのサンプルとして、

1:カリオストロの城
2:銀河鉄道999(映画版)
3:特攻装警グラウザー第0章(おい)

の3つを取り扱う。

未見の方は目を通しておいておくように。

さて、それではこれにて!!

サンプルとして扱って欲しい作品があったらリプしてくださいね・

それでは!

ζ
■D:美風